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コロナでどう変化した?世界のオフィス事情【ヨーロッパ編】
新型コロナウイルス感染症の拡大は、これまでの私たちの働き方を大きく変えようとしています。日本でもテレワークを導入する会社が増え、出社しなくても在宅でできる仕事も増えてきました。これは、感染症対策だけではなく、ライフ・ワーク・バランスの取れた働き方にもつながります。今後、新型コロナ感染が沈静化してもテレワーク拡大の流れは続くでしょう。将来的に、オフィスをめぐる事情はどのように変化していくのか。それを考える手掛かりとして、日本よりもテレワークの利用が進むヨーロッパのオフィス事情を見てみましょう。
【目次】
1.テレワーク先進国の北欧では在宅勤務に拍車
2.契約者の不信感が募る英国
3.新規開発の中止相次ぐフランス・ドイツ
4.今回のまとめ
テレワーク先進国の北欧では在宅勤務に拍車
ヨーロッパの中でも北欧はテレワーク先進国といわれます。北欧は交通事情と厳寒な気候で通勤に支障をきたすことが多く、外出しなくても働けるテレワークが普及したといわれています。スウェーデンでは1960年代からテレワークの導入が進められてきました。このため、新型コロナウイルス感染症が広がる前から、スウェーデンのほか、アイスランド、フィンランドなど北欧の国々では企業で働く人の3割以上が何らかの形でテレワークを行っていました。
こうした環境が整っていたことから、北欧ではスムーズにテレワークへの移行が進み、スウェーデンでは政府からの指示がなくても、労働者の半数が在宅勤務に切り替えていたそうです。こうした国々では、コロナ感染症によって大きくオフィス事情が変わることはないでしょう。
契約者の不信感が募る英国
ロンドンではコワーキングスペースやフレキシブルオフィスなどのレンタルオフィスを利用する個人事業主や中小企業が多いのですが、コロナ新型ウイルス対策でロックダウンなどが行われた結果、賃料をめぐるトラブルが相次いだようです。コワーキングスペースなどを提供する会社の多くは当初、オフィスを利用する側の契約者に対し「月々の賃料の猶予や契約の早期解約はできない」と告げました。おそらく、サービス提供会社側も土地や建物の所有者と賃貸借契約について交渉をしていたのでしょう。感染拡大の社会や経済への影響が深刻になった頃、ようやくサービス提供会社側も契約者に、賃料の減額や追加のオフィススペースの提供などを申し入れるようになりました。
しかし、時は遅く、契約者側の多くは完全テレワークに踏み切るなど、オフィスを必要としない働き方を実現していたのです。今回の事態によって、契約者側が抱いたレンタルオフィスに対する不信感は容易にぬぐえないでしょう。こうした契約者の不信感を背景に、レンタルオフィス業界では、業者の淘汰と再編が始まりそうです。
新規開発の中止相次ぐフランス・ドイツ
フランスやドイツなどでも2000年代から「eWork」として、欧州連合(EU)全体でテレワークを推進してきました。その結果、EU内では企業の49%がテレワークのできる環境を整えているそうです。
そうした中、フランスやドイツで問題となっているのは、大規模で良質なオフィスの不足です。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済の先行きが見通せなくなり、物流施設では新規の開発プロジェクトが相次いで延期や中止となっています。新規の大型開発案件については、新型コロナ終息後の経済動向やオフィス需要を見極めることになりそうです。
今回のまとめ
日本に比べテレワークやレンタルオフィスの活用が進んでいる欧州のオフィス事情は、日本とは様相が異なるようです。しかし、今回の新型コロナ禍を受けて、日本でもテレワークの活用が進むことになるでしょう。ヨーロッパの今後のオフィス事情は、日本にとって参考になるかもしれません。