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コロナでどう変化した?世界のオフィス事情【南米編】
世界各国のオフィス事情は、新型コロナウイルスの感染拡大により大きく変化しており、それは南米においても同様です。中でも新型コロナウイルス感染による死者数が世界2位となっているブラジルには、南米経済の中心地であるサンパウロがあり、多くのオフィスビルが影響を受けています。今回は、そんなコロナ禍のブラジルのオフィスビル事情をご紹介します。
【目次】
1.サンパウロのオフィス空室率は20%前後にまで上昇
2.オフィス解約が相次ぐ背景
3.政府も賃貸ビルの解約を検討中
4.今回のまとめ
サンパウロのオフィス空室率は20%前後にまで上昇
ブラジルだけでなく南米全域の経済の中心地であるといえるサンパウロ市には、多くのオフィスビルが建っています。しかし、新型コロナウイルス感染の深刻な広がりを受け、多くの企業がリモートワークを推進した結果、同市内のオフィスの空室率は全体で20%前後にまで上昇。
エリア別に見ると、マルジナル・スルの空室率が55%ともっとも高く、次いでシャカラ・サント・アントニオの42%、ベリーニおよびシュクリ・ザイダンの29%、アルファヴィレの27%などとなっています。サンパウロ市に次ぐ大都市であるリオデジャネイロ市では、オフィスビルの空室率は40%に達しているとのことです。
オフィス解約が相次ぐ背景
ブラジルに限らず世界中でリモートワークへの転換が進んでいますが、オフィスへ出勤しないで自宅で業務を行うスタイルは一長一短と受け止められ、賛否両論あるのが実情です。また、国民性なども影響してバラつきはあるものの、どの国でも「今後もリモートワークを続けたい」「生産性が上がった」という人と「オフィスに戻りたい」「在宅勤務で効率が落ちた」という人とが一定の割合でいます。
ブラジルの場合、在宅勤務により生産性が落ちたと感じる人の割合が低めの傾向です。一例を挙げれば、オフィスをリモートワーク仕様の共有スペースへと改装した金融機関が事前に行った社内アンケートでは、行員の94%がリモートワークに満足しているとの結果であったそうです。オフィスの賃料という大きな負担の軽減に絶大なコスト削減効果が見込まれる中、リモートワークが社員に概ね好評であることに後押しされる形でオフィスの閉鎖や縮小に踏み切る企業が少なくない様子が窺えます。
政府も賃貸ビルの解約を検討中
ブラジル経済省では、連邦政府の支出削減を進めるため、省庁間の勤務スペースを共用することを検討しており、そうしたコワーキング形態での人員採用を既に進めているとのことです。新勤務形態に基づく勤務スペース共用によって必要なオフィス面積が圧縮されるため、それに応じてオフィスの賃貸契約を解約することで、5億レアル程度の支出削減につなげられるとされています。
パンデミック以来、既に多くの公務員がリモートワークやローテーションでの勤務へと切り替わっており、使わなくなったオフィス分の光熱水道費やメンテナンス代が削減されています。そうした実例が今回の勤務スペース共用計画につながったとも考えられるでしょう。
今回のまとめ
南米の経済の中心地であるブラジルのサンパウロ市では、オフィスビルの空室率が全体で20%前後にまで上昇し、リオデジャネイロ市の空室率に至っては40%に達しています。リモートワークを肯定的に捉える人の割合が高めなこともあり、賃貸オフィスの契約解除は今後も引き続き見られると予想され、オフィス業界の厳しさは今しばらく続きそうです。