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コロナでどう変化した?世界のオフィス事情【アメリカ編】
新型コロナウイルスは人々の生活に大きな影響をもたらしていますが、働き方にも変革が迫られています。リモートワークへと大きく舵を切らざるを得ない状況下、世界のオフィス事情はどのように変化したでしょうか?今回は、アメリカの昨今のオフィス事情をご紹介します。
【目次】
1.アメリカはもともとリモートワーク先進国だった
2.都市部オフィスビルの賃料は下落傾向
3.オフィス不要論VS「オフィスこそ発想の場」
4.今回のまとめ
アメリカはもともとリモートワーク先進国だった
パンデミックを受けて多くの企業が社員に在宅勤務を命じ、あるいは呼びかけ、少なくともリモートワークが可能な職種については現在リモートワークが基本となっています。しかし、実際のところアメリカは、パンデミック以前から7割近い企業が何らかの形でリモートワークを導入していたという「リモートワーク先進国」でした。
そうした背景のもと、以前は一部社員に対する提案、一部業務への適用に過ぎなかったリモートワークというワークスタイルが、コロナ禍をきっかけに原則全社員対象となり、一気にリモートワーク化が進んだというのが実情です。
都市部オフィスビルの賃料は下落傾向
ロックダウンにより新規オフィスビル供給が滞ったものの、オフィス勤務の再開が進まず、オフィス需要が減少しているため、空室率は高めに推移しています。感染防止対策の観点から物件検討に欠かせない内見が制限され、新規の賃貸契約がスローダウンしているという事情もあるようです。その結果として、何年もの間高止まりしていた都市部オフィスビルの賃料は下落傾向です。
また、なかなか先を見通せない状況下、特に長期契約が減少し、短期契約が目立つようになってきています。サブリース市場が確立されているニューヨークでは、リモートワークが常態化したことで余ったスペースを転貸する動きも活発です。サブリーススペースの増加がオフィスの募集面積をさらに拡大させ、賃料下落を勢いづけているといった構図が見られます。
オフィス不要論VS「オフィスこそ発想の場」
少なくない企業がニューヨークに代表される大都市圏のオフィスを縮小したり、郊外のサテライトオフィス活用を視野に入れたりする一方で、GAFAをはじめとした大手テック企業は主にニューヨーク市内に次々と拠点を拡大しています。最近ではフェイスブックの大規模オフィス賃貸契約のニュースがその一例です。
都市部の豊富な人材を活用すべく、テクノロジー業界がコロナ後を睨んで既に動き始めていることを示しているといえるでしょう。オフィス不要論も聞かれるようになっていますが、テクノロジー業界の総意は「人が集まることでしか生まれない創造性がある」というものなのかもしれません。
今回のまとめ
コロナウイルス感染拡大は、オフィスビル市場に大きな影響を与えています。一気に進んだリモートワーク化や都市部オフィスの縮小、労働力の郊外への分散により、オフィス需要は細り、賃料は下落しています。また、サブリースの動きが大変活発です。しかしその一方で、大手テック企業による都市部オフィスの拡大も見られ、特にニューヨークはテック企業の集積地の様相を呈してきているといわれています。この動きがコロナ後のオフィス事情にどのように作用するかは未知数ですが、「オフィス不要論」がアメリカの出した結論というわけではなさそうなことは確かでしょう。