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賃貸オフィス・賃貸事務所は火災保険に入るべき?
命が危険にさらされ、財産も焼き尽くしてしまう火災はとても恐ろしいものです。オフィスでは多くの人が働き、重要な書類や備品もありますから、火災には十分に注意しなければなりません。万が一火災にあってしまった時の対策としては火災保険がありますが、これは加入するべきなのでしょうか。今回は、賃貸オフィス・賃貸事務所における火災保険の知識をご紹介します。
【目次】
1.万が一に備え、火災保険には加入するべき
2.火災保険は大きく分けて3種類
3.火災保険の適切な金額の求め方
4.今回のまとめ
万が一に備え、火災保険には加入するべき
最初に結論をいうと、賃貸オフィスを借りる契約を結ぶ時は、原則として火災保険に加入するべきです。法律上は、契約時に火災保険に加入する義務はありません。しかし、もし火災を出してしまった時は、物件のオーナーへの賠償、そして自社の家財の復旧などに多額のお金が必要になります。これらをすべて自社の財産で賄うのは、現実的ではありません。また、自社がどれだけ注意していても、周囲の失火に巻き込まれてしまうこともあります。この場合は失火責任法の規定により、火を出した側に重大な過失がない限りは、賠償を請求することができません。つまり、自社に一切の落ち度がなくても、受けた損害を自力で何とかしなければならないのです(※)。自衛という観点でも、やはり火災保険には加入すべきでしょう。
さらに、そもそもの問題として、火災保険に加入しなければ賃貸借契約を結んでくれないオーナーが多いと思われます。上記のような問題があるにも関わらず、火災保険に加入していない会社にオフィスを貸すのは、あまりにもリスクが大きいからです。そのため実際には、契約時に火災保険に加入する義務があるともいえます。
※原状回復義務は失火責任法の適用外のため、自社が出火元である場合はオーナーへの賠償責任が発生する。
火災保険は大きく分けて3種類
賃貸オフィス向けの火災保険は、補償内容によって大きく3つに分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
借家人賠償責任保険
オーナーに対する賠償責任を補償するための保険です。賃貸借契約を結ぶ際に最低限加入しておくべき保険であり、大抵はオーナーからも加入を求められます。火災だけでなく、爆発事故や破壊、水濡れなどにも対応可能です。
個人賠償責任保険
他のテナントなど、第三者に対する賠償責任を補償するための保険です。借家人賠償責任保険でカバーできない損害を補償するものと考えていいでしょう。多くのテナントが入っている物件であるほど重要になります。火災に加え、他のテナントの設備をうっかり破損させてしまった場合などにも対応可能です。
家財保険
自社の財産の損害を補償するための保険です。もしもの時に自社を復旧できるようにするためにも、やはり加入しておくのが望ましいでしょう。火災の他に爆発、落雷、水害、さらには盗難にも対応可能な場合が多いと思われます。以上3種類の保険には、基本的にセットで加入するのがおすすめです。
火災保険の適切な金額の求め方
火災保険に加入する時は、その種類だけでなく金額も重要になります。火災保険の金額は、発生した損害を十分に補填できるものでなければなりません。入居している物件の規模や設備、周囲の環境などによって、最悪どのくらいの被害が生じるのかは変わってきます。それ次第で適切な金額も変わりますから、よく検討して金額を決定する必要があるのです。
そこで、まずはオフィス内の家具や什器類の価値を計算しましょう。これは自社の復旧に必要な費用です。また、他のテナントの数や粗利を把握できると、他のテナントに被害が及んだ場合の損害賠償や休業補償が計算できます。これらをもとにすれば、家財保険や個人責任賠償保険の適切な金額を算出可能です。なお、借家人賠償責任保険の金額は、オーナーに直接確認するといいでしょう。他の保険も含め、オーナーから特定の保険に加入するよう勧めてくることも多いのですが、これは必ず応じなければならないわけではありません。
自分でしっかりと考えて、適切な保険を選ぶのがおすすめです。オーナーの勧めに応じるとしても、保険の内容は必ず確認しておきましょう。
今回のまとめ
どれだけ防火に気を使っていても、油断から火災を発生させてしまったり、他人の起こした火災に巻き込まれたりする可能性は十分にあります。いざという時に備え、賃貸借契約を結ぶ段階で、火災保険に加入しておくのが望ましいでしょう。細かい内容や金額についても検討し、適切な保険を選んで自社を守ってください。