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賃貸オフィス・賃貸事務所はなぜ原状回復をしなければならないか
賃貸オフィスや賃貸事務所を借りた後に行うべきなのが「原状回復」です。実際に、原状回復とはなぜ借主がすべきなのか?どこまでを求められるのかも知っておきたいポイントです。この記事では、物件の「原状回復」の意味合いと事業用オフィスならではの注意点についてご紹介します。
【目次】
1.賃貸オフィスはなぜ原状回復が必要?
2.賃貸オフィスの原状回復も一般住宅と同じ?
3.賃貸オフィスの原状回復は特約の注意点とは?
4.今回のまとめ
賃貸オフィスはなぜ原状回復が必要?
賃貸オフィスなどを賃貸契約が終了し、物件を返却する際に借主が求められる義務の1つが「原状回復」です。原状回復に要する費用もすべて借主が負担するのが通例です。このことは民法第621条で規定されています。簡単に説明すると、借主は賃貸契約が終了した後に、返却時には発生された傷や損傷部分を復帰させる責任が課されるとされています。ちなみに、損傷部分とは一般的にはオフィスなどを普通に使用し、必然的に発生する損傷は除かれます。
賃貸オフィスの原状回復も一般住宅と同じ?
アパートやマンションを借りた際にも賃貸契約書には原状回復という文字がでてきます。生活するために使用する物件と事業に使用するオフィスも同様です。しかし、双方に違いはないのでしょうか?相違点と責任範囲について解説しましょう。
ガイドラインは一般住宅だけに適応?
アパートなどを返却する際の原状回復は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、次の通り定められています。故意や過失がなければ、原状回復費用が借主にすべて課せられることはない。そのため、賃貸契約時に預けておいた敷金は、クリーニング代などを差し引き、残りは返還されます。
また、ガイドラインにも明確に原状回復の意味合いが規定されています。「物件を借りた当時と同じ状態に戻すことではない」ただし、上記のガイドラインが適用されるのは、住むことを目的とした物件に限定されることを知っておかなくてはいけません。
賃貸オフィスの原状回復の費用負担はどこまで行うべき?
では、事業用として借りたオフィスや事務所を原状回復する際、どこまでが借主の負担となるのでしょうか。結論からいうと、基本的に原状回復にかかった費用はすべて借主が持つこととなります。オフィスなどの用途で利用する場合は、利用する人数も大幅に増えるため、摩耗や劣化の程度が予測できないためです。また、業種によっても使用方法が大幅に異なってしまうため、借主負担となっているのです。
賃貸オフィスの原状回復は特約の注意点とは?
賃貸オフィスを返却する際に行う原状回復の費用はすべて借主負担ではありますが、最終的にトラブルになることも少なくありません。そこで、原状回復に必要となる工事や作業にかかる費用を記述し、負担者を決めておくことが大切です。言った言わないのトラブルにならないために、契約書の特約条項に盛り込まれるのが一般的です。
原状回復の範囲はどこまで?特約の例を確認
では、一般的な特約事項について確認しましょう。床面でいえば、クロスやフローリング、カーペットの張替え、天井部分でいうと天井材などの張替え、塗りなおしや補修、照明器具の交換などが該当します。これに加え、会社が設置した看板、備品、電話回線などの撤去、配線の撤去や、設置したエアコンなどの造作物などを取り外す費用や、クリーニング費用も含まれます。
特約が結ばれていない場合はどうなる?
契約状況によっては、事業用であっても契約書内に特約が記載されていないこともあります。たとえば、SOHO物件や小規模のオフィスなどの場合は、一般住宅用と同様の扱いとなるケースもあります。ただし、損傷具合によっては個別に話し合いが必要なこともあるので、注意が必要です。
敷金の返金される時期と物件の引き渡しのタイミングにも注意
賃貸オフィスの場合、敷金返金時期は一般住宅の場合よりも遅くなりがちです。一般住宅の場合は、1ヶ月後が多いですが、賃貸オフィスの場合は半年後や3ヶ月というケースもあります。その一方で、物件の引き渡し時期は契約が終了する2週間前など、早めに設定されているので、注意しましょう。
今回のまとめ
事業を営むにあたって借りているオフィスや事務所についても原状回復は、借主が果たすべき責任範囲に含まれます。退去する際は、まずは契約書を読み解き、特約が定められていないか、また明け渡し期限はいつまでかをチェックしてください。その上で、原状回復の範囲を互いに確認し、トラブルにならないよう工夫が必要です。