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オフィス・事務所の歴史を知る!2000年代のオフィスの様子
2000年問題で話題になった、1999年から2000年への移り変わりは、特に大きな混乱は起きませんでした。2000年代のオフィスは、1990年代に始まった効率性を求める動きがさらに加速していきました。それと同時に、オフィスデザインにおいても、社会情勢を反映させた傾向が見られるようになっていったのです。
2000年代のオフィスはどのような様子だったのか、この記事で解説します。
【目次】
1.2000年代はCSRが本格的に考え始められた時期
2.個性的なオフィスデザインが増加
3.2005年に個人情報保護法が全面施行
4.環境への取り組みが本格化したのも2000年代
5.今回のまとめ
2000年代はCSRが本格的に考え始められた時期
CSRとは、「corporate social responsibility」(企業の社会的責任)を略した言葉です。企業が、社会に対して果たす広範囲の役割を指しますが、CSRそのものの概念が生まれたのは1970年代だったと言われています。1970年代と2000年代に、日本においてCSRへの関心が高まりましたが、きっかけは企業の不祥事でした。
特に2000年代初頭には、集団食中毒、リコール隠し、食肉偽装、有価証券報告書の虚偽記載など、国内外を問わず数多くの不祥事が起こったのです。このことから、各企業はCSRへの対応を迫られることになったほか、2003年に開かれた主要国首脳会議(エビアン・サミット)において「企業の社会的責任を重視する」という経済宣言が採択されました。同年が「CSR元年」と呼ばれるようになったのは、この採択が所以なのです。当時から現在まで、多くの企業がCSRへの取り組みを続け、企業の特性を活かした活動が求められています。
個性的なオフィスデザインが増加
1990年代に、Windows95の登場やフリーアドレスの導入などで業務の効率性を求めていたのに加え、2000年代に入るとより個性的なオフィスデザインを取り入れる企業が増えていきました。
具体的には、バリアフリーデザイン、リラックスエリアの導入、個人スペースの拡充などがありますが、オフィスのレイアウトが、経営戦略の一環だという考えも広まり、社員同士が活発に意見を出しやすくなるような空間づくりが求められるようになったのです。また、インターネット環境がととのっていくにつれ、カラー印刷の需要が高まっていきました。これにより、フルカラー印刷が可能な事務機器がオフィスに取り入れられるようになりました。
2005年に個人情報保護法が全面施行
2000年代に施行された法律のひとつに、「個人情報の保護に関する法律」(以下:個人情報保護法。2005年に施行)があります。個人情報を扱う際のルールが定められている法律ですが、オフィスにおいても顧客の個人情報を保護する義務が発生し、セキュリティへの関心が高まっていきました。
ハードディスクの暗号化や、リース期間満了後のデータ消去などが求められ、情報漏洩を防ぐための手段が多様化していったのです。メーカー各社が、個人情報を守るためにオフィス機器へ搭載した機能も多く、オフィスでは機器の導入や機器の使い方を把握するなど、対応にも追われました。
個人情報保護法は、その後の日本における情報管理のあり方を変えていった法律といえるでしょう。
環境への取り組みが本格化したのも2000年代
ISO14001(環境マネジメントシステム規格)は、1996年に初版が発行され、その後2004年に改訂されました。改訂の目的は、環境に配慮した製品作りの普及促進でした。
オフィスにおいても、機器使用時のCO2排出削減をするべく、省エネの機器を選んだり作業効率を上げたりすることが求められたのです。製造段階から、3R(リデュース・リユース・リサイクル)をふまえた機器も増え、オフィスでも同様の取り組みがなされていきました。2008年には、エコオフィスへの取り組みもなされ、オフィスで効果的に省エネ・省資源を行うことが一般的になっていったのです。
今回のまとめ
2000年代を振り返ると、バブル崩壊後に企業が経営体制を改めて見直し、健全な経営を目指して取り組んでいたことが分かります。それに合わせて、オフィスも懸命に姿を変えようと努力していたのです。