名古屋の賃貸オフィス・貸事務所探し専⾨の不動産仲介業者(株)オフィッコスの「お知らせ・コラム」ページ

お知らせ・コラム

NEWS

コラム 2020.08.05

2020年4月施行! 賃貸借契約に関する変更点を解説

みなさんは、賃貸借契約に関するルールが最近変更されたことをご存知ですか? これは、2017 年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が、2020年4月1日から施行されたためです。今回の改正部分は債権法であり、実に約120年ぶりの改正だったのですが、どのような点が変わったのでしょうか。
ここでは、賃貸借契約に関する変更点を解説します。

【目次】
1.敷金や原状回復のルールが明確化。ただし特約条項に注意
2.修繕の融通がきくようになり、責任の所在も明確化
3.賃貸人や連帯保証人を保護する変更点も
4.今回のまとめ

保証金や原状回復のルールが明確化。ただし特約条項に注意

ルールの変更点の中でも、特に多くの方に関係するのが保証金(敷金)に関することです。一般的には、入居時に賃料の6ヶ月~12ヶ月分程度を保証金として支払います。そして退去時には、敷金から原状回復費用や未払いの賃料などを引いた金額が返還されるというわけです。
しかし、これまで保証金に関するルールは明確化されておらず、多くのトラブルが発生していました。「家賃の滞納も大きな修繕もなかったのに、敷金が1円も返ってこなかった」というものが典型例でしょう。改正民法ではこの辺りが明確化され、保証金から各種費用(未払い債務残額)を差し引いた分の返還が定められたのです。
これに関連して、原状回復のルールも明確化されました。原状回復とは、退去時に建物を入居時の状態に戻すことをいいます。しかし、その範囲に関するルールが曖昧だったため、「どこまでを賃借人の負担で直すべきなのか?」という点を巡ってトラブルが絶えなかったのです。
改正民法では、通常損耗や経年劣化による部分は、賃借人に原状回復義務はないと定められました。壁紙の日焼けや、家具の重さによる床の凹みなどは、賃借人が負担して直す必要がないというわけです。一方、うっかりつけてしまった壁の傷やタバコのヤニ汚れなどは、原状回復義務が生じることになります。
ただし、実際には契約書の「特約条項」により、通常損耗や経年劣化による部分についても、賃借人の負担による原状回復が求められるケースが少なくありません。特約条項の内容は、契約書の他の部分よりも優先されるので、必ずチェックしてください。

修繕の融通がきくようになり、責任の所在も明確化

物件の修繕が必要になるのは、退去するときだけではありません。普段の生活の中でも、修繕が必要になることはあります。今回の改正では、こういった修繕関連のルールも変更されました。通常、賃借人に過失のない形で物件の修繕が必要になった場合は、賃貸人が修繕の義務を負います。その反面、賃借人が勝手に建物を修繕することはできなかったのです。
改正民法では、「賃貸人が修繕の必要性を知っていたのに修繕しない時」「急迫の事情がある時」であれば、賃借人が修繕を行うことも可能になりました。大雨が来そうなのに屋根が破損している時などは、自力で修繕していいわけです。
さらに、建物の一部が滅失(破損・故障)した場合は、賃料が「当然に減額される」と定められました。これまでは「減額を請求できる」という程度のルールだったため、賃借人にとっては有利な変更です。一方で、賃借人の過失によって物件を破損させた場合は、賃借人に修繕の義務が生じることになりました。修繕に関する責任の所在がはっきりしたといえるでしょう。

賃貸人や連帯保証人を保護する変更点も

最後に、もう少し細かな変更点を見ていきましょう。賃貸物件を使っていると、賃貸人が別の人に物件を譲渡・売却することがあります(いわゆるオーナーチェンジ)。この場合、物件の権利はすべて新たなオーナーに移り、賃料もその人に支払うことが明確化されました。普通に考えれば当たり前の話かもしれませんが、意外とこのような部分が曖昧だったのです。
そして、連帯保証人に関する変更も無視できません。従来の民法では、連帯保証人が責任を負う金額の上限である「極度額」の定めがありませんでした。しかし、今回の改正によって、極度額の設定が必須となったのです。滞納した賃料などを際限なく請求されることがなくなったため、連帯保証人のリスクが小さくなったといえるでしょう。
なお、ここまで紹介してきた内容が適用されるのは「2020年4月1日以降に結ばれた契約」です。3月以前に成立した契約には、改正前の民法が適用され、契約更新などのタイミングで改正後の民法が適用されることになります。契約更新の際には、ルールが変わっていることを賃貸人・賃借人ともに確認し、それを反映した契約書を作成しましょう。

今回のまとめ

今回の民法改正は、これまで曖昧になっていた部分や、時代にそぐわなくなっていた部分を修正したものです。賃貸借契約においても、トラブルの発生要因になっていた部分が修正されたため、今後はトラブルの減少が期待できるでしょう。どこがどのように修正されたのかをしっかりと理解し、最新の法律に則った契約を行ってください。

kiji_7 kiji_hojo

CATEGORY